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近江兄弟社高等学校の教育
「リベラルアーツ教育」で
「インサイト」できる
「人財」の育成を!!

校長
藤澤 俊樹
副学園長
松田 保

藤澤今年度より、松田保先生を、副学園長としてお招きしました。先生のライフワークである「滋賀県にJリーグチームを創設する」活動を学園として支援したいという思いと「ヴォーリズ・コーチング・アカデミーを立ち上げ、健全なスポーツ指導者の育成をしたい。あわせてJFAキッズプログラム事業を学園のこども園・保育園でも展開したい」という思いからです。まずは、先生からその抱負をお願いします。

松田まずは私の地元近江八幡で自分の専門である「コーチング」の学びを深め、地域に根付かせる機会を与えられたこと、また保・幼から高校まですべてのカテゴリーの教育事業を行うヴォーリズ学園の教育活動に携われることに今からワクワクしています。

藤澤先生は主に保健体育科の教員、サッカーの指導者という立場から、高校や大学、世界という様々なカテゴリーでスポーツに関わられてきましたが、現在の日本のスポーツ界が抱える問題点をどのように考えていますか。

松田日本ではスポーツを、教育活動における「体育」や「部活」といった狭い領域でとらえがちです。またスポーツを、「チャンピオンスポーツ」や「プロスポーツ」など一部の人が関わるものととらえてきました。しかし、そもそも世界ではスポーツを世代や地域を問わずみんなが自由に関わる自分たちの文化・豊かさ・楽しみ・喜びとしてとらえています。日本ではその部分が欠落していますね。

藤澤その欠落は、教育現場でスポーツへのかかわりを教え、コーチングする教師にも要因の一つがあると思うのですが、先生はどうお考えですか。

松田コーチングの世界では「学ぶことを止めたら、教えることを止めなければならない」という格言があります。コーチングは、一人一人の才能をいかに引き出すか、それをサポートするものであり、教える者と教えられる者がお互いの学びを高めあえた時に最大の効果が上がるといわれています。ただし、私を含めて、その原点を見失い、熱意が高じて勝利至上主義に陥り、学びあいが成立していないケースになりがちですね。

藤澤先生は指導実績の中では、数々の「勝ち」もおさめられていらっしゃるので。

松田いやいや、私も「勝ち」をはるかに上回る「負け」や失敗、コーチング上のミスを犯してきました。むしろその負けや失敗こそが、共に学ぶきっかけとなりました。なぜ負けたのか、なぜ成長できなかったのかなどの学びこそ育成年代の指導者と選手にとって大切な学びであり、人生に通じる学びとなるはずです。

藤澤なるほど。先生は高校生という「育成年代」の教育で最も大事なことは何だとお考えですか。

松田常にチャレンジしながら、その間の失敗を乗り越え、様々な経験をしながら生き方を学ぶことではないでしょうか。そんな実践学問としての学びを体現して欲しいですね。たとえば、現在スポーツ界で活躍する多くの一流選手が挫折を味わい、そこからはいあがって一流にたどり着いていますからね。サッカー界でいえば、長友佑都選手なんかは明治大学では2年生まで鳴かず飛ばずで応援団長として太鼓をたたく役割をしていたのは有名な話です。

藤澤よく「文武両道」と言いますが多くの学校では、「あなたは文=勉強、あなたは武=部活」と学校全体で分業して、ともかく「実績」をあげているように思います。本校では生徒一人がひとり「文も武も頑張る」ことを求めています。

松田私は「文武不岐」という言葉を好んで使います。これは滋賀県出身の江戸時代の儒学者・中江藤樹先生の言葉で、「武なき文は真実の文にあらず、文なき武は真実の武にあらず。」という言葉が由来です。文武両道はそもそも二つの別々の道を前提としているため、先ほど藤澤先生がおっしゃったようなことが可能になっちゃうんです。そうではなく本来、文と武は切り離せない一体のものであるという考え方は、近江兄弟社高校のリベラルアーツ教育にも通底する考え方ではないでしょうか。

藤澤そうですね。本校では、「先行き不透明」な「グローバル社会」に生き抜いていく「人財」を育てるためには、「リベラルアーツ教育」こそ求められていると確信しています。私は、大人が「先行き不透明」と言い、ただ耐えて時代に柔軟に適応せよというだけではやや無責任だと感じています。本校ではいろいろな分野を幅広く学び、時には失敗も含め、様々な体験ができるプログラムを多彩に用意し、その中で「真の自由人」を育成したいと思っています。

松田サッカー界では、インサイト(insight)という言葉をよく使用し、その育成を図っています。インサイトとは、洞察・俯瞰・ひらめきや、少し先を読み、予測する、未来を想像するという意味があります。しかし、幅広い基礎教養や体験・経験の乏しい人間は、わからないことや見えないことが多く、インサイトし、決断し、実行することができません。

藤澤そういった意味では、本校の「リベラルアーツ教育」を展開し、「インサイト」できる、言い換えれば未来を見通し、未来を創造する「人財」を育成することは、時代の要請でもあると言えそうですね。松田先生、是非そのような教育の実現に、ご協力ください。

松田こちらこそ宜しくお願いします。共に頑張りましょう。

松田 保プロフィール
1948年生、滋賀県近江八幡市出身。滋賀県高校保健体育科教員として初赴任先からサッカー部監督に。守山高校で1982年、守山北高校で1994年に全国高校選手権ベスト4進出。守山高校時代の教え子には元日本代表の井原正巳氏、「なでしこジャパン」をコーチとしてW杯優勝に導いた望月聡氏ら。1993年~95年までは小野伸二、稲本潤一ら「黄金世代」を擁したU-17日本代表監督として、FIFA U-17世界選手権に出場。2003年からはびわこ成蹊スポーツ大学教授として大学サッカーの指導へ。その後、大和大学を経て2018年4月より本学園副学園長に就任。
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