学園

いのちの光

2018/06/01
いのちの光 『いのちは宝』

中学校聖書科 大門 耕平

「どんな貪欲にも注意を払い、用心しなさい。有り余るほどの物を持っていても、人の命は財産によってはどうすることもできないからである。」(ルカによる福音書 12:15)

人間の欲

今月の聖句は、私たちが貪欲をもつことを警告する言葉です。「貪欲」、辞書には「非常に欲が深いこと、強欲」とありました。

人間は、幼きものも、成熟したものも欲を持って生きる存在であります。欲のすべてを否定的に捉えるべきではありません。欲によって新しいことを手に入れ、新しい経験、新しい生き方を身につけることもあります。

重要なことは、欲と貪欲の違いを理解し、自分自身の欲がどのようなものに起因しているかを知ることであります。

一柳満喜子の幼児教育

ヴォーリズ学園の創立者の一人である一柳満喜子は、幼児教育の重要性を唱えました。「三つ子の魂百までも」を引用し、「(これは)古くから言われた真理であり、現代の教育科学の実証するところであります。」と記しております。

そして、一柳満喜子は、幼児のもつ自己防衛的な性質である自己中心的な思考を「わがまま」にするか、「自己統制力」にするかに、教育機関で幼児教育を受けることの意義があると記しております。

幼き時から持つ自己中心的な感情を、自分だけを基準とした「わがまま」という貪欲に導くのではなく、他者との共存の中での「自己統制力」という有益な欲に導くことを重視しました。そして、幼児教育の中での集団生活、集団での遊び、マナー教育などから「わがまま」ではない力を育むことをこのヴォーリズ学園の幼児教育の重要な目的としておりました。

幼児教育の重要性

幼児教育の重要性は、現代でも非常に重要なものとされております。シカゴ大学のヘックマン教授は、ミシガン州の幼稚園において、質の高い教育プログラムを開発、実施ののち、40年にわたり追跡研究を行いました。この研究において、質の高い幼児教育を受けることが短期的ではなく、長期的、40年以上もその影響が続くという幼児教育の重要性が立証され、今なおさまざまなところで高く評価されております。

どんな貪欲にも注意を払う

人間の欲を「わがまま」ではなく、「自己統制力」とするために必要なことは、「自分以外の人のため」という視点を持つことです。「人のため」、「社会のため」そして「世界のため」という志、広い視野を持つことで、貪欲から離れられ、「自己統制力」に導かれます。自分自身の今のあり方を「わがまま」、「自己統制力」のどちらであるかを確認すること、それが今月の聖句の教えの実践になります。この聖句を覚え、今月の歩みを共に歩んでいきたいと願います。

一柳満喜子(1959),『教育随想』,滋賀, 明文舎.

Heckman, J. J. (2006). Skill formation and the economics of investing in disadvantaged children. Science, 312 (5782), 1900-1902.

 

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高等学校の「花の日礼拝」が5月30日(水)近江八幡市文化会館で行われました。講師の桃井和馬先生(写真家、ノンフィクション作家、桜美林大学客員教授)は「助け、助けられる命」(あらゆるものにムダはない)というテーマでお話をされました。世界中を巡り歩いた和馬先生は、神の創造物である自然には何一つ無駄なものはない。私たちはその恵みによって生かされている、という感銘深いお話しをしてくださいました。生徒のみなさんはこの礼拝にあわせてたくさんの花を持ち寄り、会場一杯に飾りました。礼拝後、その花は日頃お世話になっているところに届けました。31日(木)は「中学校」と「もりのかぜ」でも行われました。6月6日(水)には「ひかり園」、8日(金)は「小学校」と「そらのとり」でも予定されています。

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