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2021/03/19
京都研修 探求学習レポート

近江兄弟社中学校1年生では、11月に京都研修を行っております。今年度は、京都に行くことがかないませんでしたが、京都研修の目的である探求学習は行うことができました。

今年度の探求学習は、文系班、国際班、理系班の3つグループに分かれて行いました。10月のガイダンスにおいて、担当教師よりそれぞれのグループの研究の目的、研究の手法がアナウンスされ、それぞれが自分の興味関心と近いグループを選びました。

理系班の生徒は、3つのテーマに分かれて調査、実験をしてレポートにまとめました。以下がそのレポートです。

マスクの色とデザインが人に与える印象に ついての研究

マスクの色の印象についての研究

感謝を伝えるお辞儀についての研究

言葉とジャンプの関係についての研究

正確に相手に伝わる動作指示についての研究

そして、「マスクについての研究」について、先行研究として参考にした論文の著者である北海道大学 文学部心理学研究室 教授 河原純一郎先生、東京大学 研究員 東京大学研究員 伊藤資浩先生から探求学習についてコメントをいただくことができました。

河原純一郎先生のコメントは以下になります。

この度はたいへんすばらしい研究成果をお知らせ下さり,ありがとうございました。わたくしたちの論文が探求学習の題材となり,誠に光栄です。堅実な調査デザインで,とても興味深い結果だと思います。現在のような感染症流行時は,非着用よりも白色マスクを着用すると好印象なのは(悲しいことですが),環境がわれわれの認知を変えている現実を見事に表していると思います。柄の効果も詳細に調べられており,素晴らしい研究成果だと思います。わたくしたちの研究室では,感染症流行前に白マスクvs.非着用の比較をしたときは,非着用のほうが一貫して魅力が高く知覚されていましたので今回の結果はそれとは対照的で,とても興味深い発見だと思います。

今回の白マスクvs.黒マスク比較の研究を実施した伊藤資浩氏に連絡が取れましたので皆さんの研究報告を見て貰ったところ,コメントをくれました。引用は以下のとおりです。

 

—-ここから伊藤資浩先生のコメント—-

論文をとりあげていただき,誠に感謝いたします。

とても面白い調査だと思います。特に,本来マスクをするということはネガティブなこと(風邪や体調の悪さを想起させる)なので,今回男女ともに一貫して白マスク着用時に非着用時より印象が良くみられたのはとても興味深かったです。これは,まさにコロナの影響があるのではないかと考えられます(後者の研究を含めて皆様の考察はとても的を得ていると思います)。というのも我々も現在,新型コロナウイルス感染症の影響前後で各種のマスク着用者の印象がどのように変わったかを検討しております。当然コロナ流行前よりマスク着用者は増えましたし,マスクの着用は風邪や花粉症等の個人的な着用目的から,感染しない・させないという社会規範に即した着用目的へと変化しています。実際調べてみると,マスク着用者に対してコロナ影響後の方で非健康的(ネガティブ)な印象が少なくなることが分かっています。ただ,我々は基本的に白か黒のマスクで調査しているので,他の色や柄だと全然印象が悪くなるということにとても驚きました。ぜひ参考にさせていただきます。また,中学生を対象としてアンケートを取る機会はなかなかありませんので,後者の研究のアンケートについても参考にさせていただきます。元論文と基本的に同じ質問形式にしていただいていますのでとても参考にしやすいです。

また,課題というわけではありませんが,今後こういう工夫を加えると良いのではないかなというところをお伝えすると,前者の研究については各色のマスクをどれくらい見かけるかについても聞いたら面白いのではないかと思います。人は見慣れたものを良いと思う傾向がありますので,一般的に多く普及している白マスクが良く思われたのかもしれません(これに対して柄などを見かけることは少ない)。後者の研究に関しては,アンケートの質問文を元論文と同じものにしていただいており,比較しやすいというのはとても良いポイントだったと思います。ただ,選択肢が3段階に限定されていたので(元論文だと7段階),中間のどちらでもないという結果が多く得られてしまったことが考えられます。そのために,選択肢も元論文と同じように設定していただくことで,より考察しがいのあるデータが集まるかもしれませんので,もし機会があればそのような工夫もあったら良いと思いました。

東京大学研究員 伊藤資浩

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