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デジタル地の塩

校長通信

2018/08/31
夏休み,新しい発見 ~term3をむかえて~

先月の西日本豪雨,そして先日の台風19号20号の影響も未だ残っている中,本日新しいtermをむかえました。台風・豪雨の被害に遭われた方,今なお日常の生活に戻れない方々が大勢おられることを心に留めながら,新しい一歩を踏み始めましょう。
夏休み中は,クラブ活動や夏期学習会など学校に来る日も多かったのではないでしょか。皆さんは,それぞれ自分の場所で2018年の夏を体験し,それぞれが成長したことと思います。この夏の体験を通して,今までと違う自分を発見できたでしょうか。一つでも新しい発見があれば,思い出に残るよい夏休みであったのではないでしょうか。
さて,もうずいぶん昔の話にはなるのですが,「ゾウの足跡化石」が現在の湖南市の野洲川で見つかりました。30年ほど前の1988年の夏に大雨で増水した川が土砂を洗い流したあとに出現した「足跡の化石」です。「足跡が化石?」と疑わしく思う人がいるかもしれませんが,学術的にも認められた化石の一つなのです。他にも,糞であるとか生物の活動の痕跡などが地層中に残されたものも化石で「生痕化石(せいこんかせき)」と呼ばれています。220万年前のステゴドンゾウという種類の体調4mほどの小型のゾウの足跡だそうです。大昔,かつては日本列島にゾウの種類が生息していたことを示すもので,当然骨の化石なども見つかっています。私も当時,理科の先生たちと一緒に現場を訪れて,シカの足跡やメタセコイヤの化石木も見つけました。ちなみに,学園のシンボルツリーの教育会館前のメタセコイヤは,日本ではすでに絶滅していたので「生きている化石」とも呼ばれています。どうして,それが学園に植えてあるのか。興味のある人は,教育会館前を探してみてください。答えが見つかると思います。この足跡化石の発見を機に,日本中で多くの「生痕化石」発見の報告がなされるようになったのです。
私の好きな岩手県出身の作家,歌人が二人いるのですが,一人は石川啄木,もう一人が宮沢賢治です。実は,日本ではじめて「足跡化石」に注目し,北上川の河畔で足跡化石を発見したのは,意外に知られていないのですが,「銀河鉄道の夜」などで知られている「宮沢賢治」です。宮沢賢治は,幼少の頃から自然の中の色々なものに興味を持っていました。鉱物採集,昆虫の標本,星空の観察,農業,短歌,等々。彼の作品を見ればそれがわかるような気がします。化石だって作品中に出てきます。
1922年8月8日,花巻農学校の生徒たちと実習に行って見つけたものでした。これは,彼の「イギリス海岸」を読めばわかります。
彼は身の回りの色々な自然に興味を持ち,豊かな心を養っていったのではないかと考えています。彼の作品の中は,自然や風景,植物や動物などが数多く登場し,彼の人間性がよく表わされています。
私は,中学生の頃というのは,一つのことだけに拘らずに,色々なことや事象に幅広く興味を持ってほしいと思っています。視野を大きく持つことによって,色々なものが見えてくる。本当のことが見えてくる。そう思っています。この夏,沢山の経験をしたことが,これからの人生を豊かにしてくれるそう思っています。新しい発見は,夏休みに限らずいつでもできます。また,新しい発見がこれからの自分の人生に活かされることと思います。
今日から始まるterm3においても,仲間とともに新しい発見を続けて欲しいと思います。

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