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デジタル地の塩

校長通信

2019/10/18
自分で自分を褒めたい(term3の終業にあたって)

2020年の東京オリンピック出場選手の選考を兼ねた大会が開催されています。大きな夢に向かって大会に挑む選手たちの姿に感動します。また大会を終え内定を勝ち取った選手たちのこれまでの努力、苦悩、周りの人たちのサポートが紹介され、大会に臨むことさえもどれだけ大変なことなのかを知り、大会に参加した選手の数だけドラマがあるのだと感じます。
「初めて自分で自分を褒めたいと思います。」は女子マラソン選手の有森裕子さんの言葉です。彼女は1996年のアトランタオリンピックで、3位でゴールしました。1992年のバルセロナオリンピックでは銀メダルを取っており、2大会連続でメダルを獲得するという快挙でした。そのときのインタビューに答えたのがこの言葉でした。「メダルの色は銅かもしれませんけど、終わってから、なんでもっと頑張れなかったのかと思うレースはしたくなかったし、今回は自分でそう思っていないし・・・・」と涙ぐみながら語り、「初めて自分で自分を褒めたいと思います。」と結んだ姿は感動を呼びました。
「自分で自分を褒める」というフレーズに心を引かれた人も多かったと思いますが、加えて、今まで頑張ってきたことを誰よりも知っている自分が、1つの取り組みを終え、悔いなく晴れやかな気持ちでいられる自分に「頑張ったね」と言えることがとても自然な行為として多くの人々の共感を得たのだと思います。
2019年「子ども・若者白書」によると日本の若者(13歳から29歳)の自己肯定感は諸外国の若者に比べて低い結果となったとされています。「自分自身に満足しているか」という質問に対して、「そう思う」「どちらかというとそう思う」という肯定的な回答をした割合は、韓国73.5%、アメリカ87%、イギリス80.1%、ドイツ79.6%、フランス85.8%、スウェーデン74.1%に対して日本は45.1%となっています。また「自分には長所があるか」との質問に対しての肯定的な回答は、韓国73.7%、アメリカ91.2%、イギリス88.4%、ドイツ91.4%、フランス90.6%、スウェーデン73.7%に対して、日本が62.2%となっています。
この自己肯定感の低さは、日本人の奥ゆかしさ、謙虚さ、控えめな気質によるのでしょうか。結果や成果に重きを置き、それまでの努力や頑張りを評価することにブレーキがかかってしまうのでしょうか。そんな気持ちが皆さんの可能性を抑えてしまうのであればとてももったいない。もっともっと自信を持って、様々なことにチャレンジしてほしいと思います。
term3の終業の時を迎えました。term3には文化祭がありました。皆さんは文化祭の取り組みを通して、事前準備、役割分担、もめごと、話し合い、覚悟、協力等のプロセスの大切さを実感しました。良い結果がついてくることに越したことはありません。しかし、結果が思うようなものでなかったとしても、もちろん悔しい気持ちはあるけれど、その一方で確かに感じる充実感や達成感、晴れやかな気持ちを皆さんは実感できたと思います。
また取り組みを通して感じた充実した気持ちの裏付けとして、誰も知らないかも知れないけれど自分なりに頑張れた、チャレンジできた、変われたという自分なりの満足感があります。
term3の振り返りの時です。文化祭、定期考査、夏休み中の大会やコンクールなど、自分の頑張りを一番知っている自分がしっかり自分を褒める機会としてください。
そしてそれらを年度の折り返しとなるterm4へ向かうエネルギーにしてください。

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