理事長挨拶

理事長 藤澤俊樹

理事長藤澤俊樹

「平和を作り出す人」に!

― 創立100周年にあたって ―

2022年度がスタートしました。ヴォーリズ学園にとって創立100周年の節目となる年度です。しかし新型コロナウイルス終息の兆しも見えず、世界中に閉塞感が漂うなか、ロシアがウクライナへ侵攻し、子どもを含む多くの尊い命が奪われるという凄惨を極める事態となっています。ロシアの行為は明らかな侵略で、断じて容認できるものではありません。一刻も早い戦闘終結、平和的解決を願わずにはいられません。記念の年度スタートにあたって、私たちは、創立者ヴォーリズの精神、とりわけその「平和への願い」を今一度、確認しなければならないと強く思います。

私は、ウクライナからの目を覆いたくなるニュース映像を見ながら、つくづく「絶対的正義は無い」と痛感しています。古今東西、戦争は、それぞれの「正義」によって引き起こされてきました。私は社会科(地歴公民科)の教員で、「現代社会」や「倫理」の授業も担当しました。不十分な理解のまま、ソクラテスの「無知の知」についても教えたことも思い出します。「人は誰もが不完全、自分が知っている、絶対正しいと思ったとき、絶対的に間違っている」「世の中に絶対といえるものはほぼないが、絶対といえるものがほぼないというのは絶対に近い」等々。

かつての日本も含めて、およそ戦争というものは、この自分たちは絶対に正しいと思うという間違いを犯すことから起こってきました。平和を守るとは極言すれば、その間違いを犯さないようにするということです。その間違いを犯さないためには、真剣に学び、疑い、悩み、考えること、多くの人と対話し、その意見に耳を傾けることが決定的に重要です。それをしない「独裁体制」は、それ故に危ないわけです。

そう考えると、私たち、教育・保育機関に働く者の責務は、真剣に学び、疑い、悩み、考え、多くの人と対話し、その意見に耳を傾ける、成熟した市民・主権者を育成することです。それは「平和を作り出す人」の育成と言い換えてもよいかと思います。

我が国の教育は歴史的転換点に立っています。容易に答えの出ない問題が山積している中で、従来の知識詰め込み、一方通行の教育では役に立たないからです。いっとき「アクティブ ラーニング」が改革目標となりましたが、外国の方から「そもそもアクティブでないラーニングがあるのですか」と質されたという笑えない話もありました。今、求められているのは「対話すること」「考え続けること」です。対話とは不完全な人間同士が向き合い、より良い解(叡智)を見いだすこと。考え続けるとは、自分の中の対話主を見つけ、自分自身を見つめ直すことです。そのような教育実践を積み重ね、「平和を作り出す人」を世に送り出すこと、これが創立者の願いであると確信しています。

創立100周年にあたり、そんな創立者の願いに立ち返った教育創造に努めたいと改めて思っています。

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