「いのちを大切にする教育」
の具体化を

校長 春日井 敏之
校長 春日井 敏之

ヴォーリズ学園は、2022年に創立100周年を迎え、次の100周年に向けた歩みが始まっています。その一方で、この間のコロナ禍によって、私たちが大切にしてきた学校、家庭、地域における様々なコミュニティが寸断されてきました。また、世界では紛争、戦争が続発し、平和な国際社会への道のりの険しさに直面しています。ここでは、コミュニティの再生と平和の創造が人類の課題となっています。同時に、教育現場では、憲法と子どもの権利条約に基づき、「子どもの最善の利益」の実現を図ること。そのためには、子どもの意見表明権を尊重することが実践課題であり、私たち教職員の「聴く力」が問われています。
近江兄弟社高等学校では、学園訓「地の塩・世の光」に基づく人間教育を大切にしています。それは、「いのちを大切にする教育」に収斂されます。これは、お互いにかけがえのない存在である自分と他者を大切にし、学校、地域、社会、世界の人々と、どのようにつながって生きるのかを探究していくことです。コミュニティの再生と平和の創造が人類の課題となっている中で、「いのちを大切にする教育」の探究は、より重要になっていると考えています。
この教育理念は、世界保健機構(WHO)などが提唱している「well-being」(心と身体と社会的つながりの良好な状態=幸福)とも重なりを有しています。近江兄弟社高等学校の生徒が持っている強みである「困っている人を助けたい、他者や社会とつながって生きる」といった姿勢や生き方を、教育改革の議論の中で学びのプログラムとして具体化していきたいと考えています。