近江兄弟社中学校・高等学校PTA研修会               
対談:髭男爵 山田ルイ53世―高等学校校長 春日井敏之
テーマ:子育て・子離れー思春期・青年期の子どもの世界と保護者の関わりー 

 【笑い考え、自分と向き合うひととき】
 対談は、中島薫中学校長による講師紹介への山田ルイ53世さんからの突然のツッコミから始まりました。それは、ステージに上がった瞬間、職人のスイッチが入るという姿に、300人の聴衆が引き込まれた瞬間でもありました。そしていきなりエンジン全開でトークが始まりました。舵取り役の私は、しばしば舵を取られてしまいそうになりましたが、笑いにあふれ、時にはじっくり考えたりしながらのあっという間の意味の深い2時間でした。
食事をいただきながら、山田さんと私の直前の打ち合わせは40分ほどでしたが、「第1ステージが終わった感じだよね」と、応接室で率直な「対談」ができました。山田さんとは、3月15日NHK京都放送局で、京都スペシャル「いま、子どもたちの学びの場は?」という不登校への支援を特集した番組でコメンテーターとして共演させていただいたことが、今回の企画につながりました。
 対談は、前半は「自分を語る」、後半は「質問に答えて」という流れでしたが、前半で話は盛り上がりました。不登校・ひきこもりという難しいテーマについて、山田さんには、中学2年から6年間に及ぶ不登校・ひきこもりの当事者として、家族との関わりや学校生活での体験を率直に語っていただきました。出会った困難をエピソードに変換して、さらに笑いのネタに転換してしまう山田さんの姿に触れて、「人生思い通りにならないことも多いけれど、経験したことのすべてが、今の自分につながっているよね」と、なんだか自分のことを愛おしく想うこともできました。
子育てって言うけれども、親も子どもも未熟者なんだから、なかなかうまくいかないよね。でも、親子両方にとって、時にはぶつかり合ったり、時には距離をとったりして関わり合う、そのプロセスが大事じゃないですかね。そんなことを、共有し合うことができました。親は「子どものために」と言いながら、自分の未完の夢を子どもに押しつけたりしてはいないでしょうか。子どもの反抗期は、「自己主張期」で成長の証ですよ。昼夜逆転の生活は、「シャバの活気を避け、自己嫌悪に陥るのを避けて生きる」ための選択だったんですね。「子どもは、親のいいところももらって成長していく」から、大丈夫ですよ。笑ったり考えたりしながら、参加いただいたみなさんが自分と向き合うひとときになったとすれば、こんなにうれしいことはありません。ご準備いただいた中学校・高等学校PTA役員のみなさま方には、改めて感謝申し上げます。