春は別れと出会いの季節です。私たちもみなさんと一緒に卒業生を送り出し、何人かの同僚との別れもありました。これまで長く馴染んだ環境から、新しい環境に移る時、心と体はいつも後から追いついてきます。それは、急がなくてもいいからねというメッセージでもあります。ですから、期待や緊張、不安の入り交ざった4月のスタートは、いきなりエンジン全開ではなく、ゆっくりと慣らし運転から始めていってください。新入生のみなさんにも、どうぞ優しく丁寧に接して、本校に来てよかったと思ってもらえるようにしてあげてください。

新2年生、3年生のみなさん、春休みに充電はできましたか。3月の終業式でもお話ししましたが、1年間の自分自身の成長を確かめながら、新しい学年での目標や課題、自分が本当にやりたいことなどについて考えることができたでしょうか。具体的には、日々の授業に加えて、3年生のみなさんは、虹隣祭、部活動などで中心的な役割を果たし、進路選択を実現していく大切な1年間となります。2年生のみなさんも同様の課題に取り組むことになりますが、進路選択に向けて実力を高めていくためには、むしろ2年生が重要になります。加えて、後半には海外研修の取り組みもあります。

また、今年も、昨年からの放課後の取り組みを継続し深化させていきます。一つは、部活OFFの火曜日を軸に全教職員の手で通年行う「100ワクゼミ」(放課後ゼミ)です。二つには、教育機関「トモノカイ」と連携して、月から金まで毎日大学生が4名来校して、3時間行う「メンタールーム」「イベントルーム」の取り組みです。自分の興味関心に応じた課題探究の場所として、また日常の学習を補完し実力をアップしていく場所として、この二つの取り組みを大いに活用していってください。トモノカイについて、詳しくは後日説明の場を設定していきます。

一方、世界ではウクライナ、イランなどで戦争が拡大し、平和な国際社会に向けた道のりの険しさに直面しています。戦争では多くの市民が亡くなり、世界の人々の日常生活にも大きな影響を及ぼしています。こうした中にあって、本校の生徒のみなさんの強みは、自分のことだけで世界を狭めて生きるのではなく、世界の平和や地域の課題のために、学級や学年、学校のために、425名の新入生や後輩のために、何ができるのか自分の世界を広げて考えることができるということです。これが、学園訓「地の塩 世の光」が掲げる人間像です。それは、お互いにかけがえのない存在である自分と他者を大切にし、学校、家庭、地域、社会、世界の人々と、どのようにつながって課題解決のために生きるのか、探究していくことです。

 さて、みなさんは、自主性と主体性の違いを知っていますか。自主性は、誰かに決められたこと、与えられた役割を自ら率先してやっていくことです。主体性は、何がしたいのか目的、課題などを自分で決めて、自分の意思や判断でやっていくことです。自主性は、「決められた1を率先してやること」、主体性は、「0から1を生み出していくこと」とも言われます。課題が山積する現代社会で求められている人間力は、主体性であり、主体と主体がつながっていく協働性の大切さが指摘されています。

1年前の卒業礼拝で、コースの代表として当時バスケット部女子のキャプテンであった東さんは、次のように述べていました。「4月に新しい顧問の先生との最初の面談で、どんなチームを目指しているのかと聞かれました。私は、周りから応援されるような主体的なチームにしていきたいのだと伝えました。今までは、顧問の先生を筆頭に、その先生についていくだけのチームでした。ですが、それはきっと、自分たちの一番の弱点でもあったと思います」。私たちの強みでもあり大切にしている部活動の日常の練習のあり方、チームのあり方などを考える際の大きなヒントがここにもあるのではないでしょうか。自主性と主体性について、一度考えてみてください。

以上、始業式にあったってのお話とします。