春を告げる満開の桜を経て、早くも新緑の息吹を感じる清々しい時節を迎えています。この良き日に、ヴォーリズ学園近江兄弟社高等学校に入学されたみなさん、ご入学おめでとうございます。心から歓迎いたします。保護者のみなさま方には、大切なお子様の進路選択に際し、本校を選択していただきましたこと、心より感謝申し上げます。お子様のご入学、おめでとうございます。また、来賓のみなさま方には、ご多用の中ご列席いただきましたこと、重ねて感謝申し上げます。
春は別れと出会いの季節です。私たちも卒業生を送り出し、何人かの同僚との別れもありました。これまで長く馴染んだ環境から、新しい環境に移る時、心と体はいつも後から追いついてきます。それは、急がなくてもいいからねというメッセージでもあります。ですから、期待や緊張、不安の入り交ざった4月のスタートは、いきなりエンジン全開ではなく、ゆっくりと慣らし運転から始めていってください。本校での1年間、そして3年間は、短距離走ではなく人生というマラソンの一部なのですから。
また、みなさんが本校を選択していただいた経過は、一人ひとり異なるかと思います。大切なことは、これまでの小さな自己決定の積み重ねの結果、何と425名が今日ここで出会えたということです。この出会いは決して偶然ではなく、みなさんが小さな自己決定を積み重ねた結果生まれた奇跡の出会いだと思うのです。この出会いをお互いに大切にして、3年後の卒業の日に、近江兄弟社高等学校が自分の人生にとって第一希望の学校になったと心から言い合えるようにしていってください。私たち教職員は、そのために伸びしろにあふれたみなさんのことを、全力で応援していきます。
世界ではウクライナ、パレスチナ、イランなどで戦争が拡大し、平和な国際社会に向けた道のりの険しさに直面しています。戦争では多くの市民が犠牲となり、つながって成り立っている世界の人々の日常生活にも大きな影響を及ぼしています。本校が、学園訓「地の塩 世の光」のもと、人間教育として大切にしていることは、「いのちを大切にする教育」「平和の担い手として世界とつながる教育」「豊かに生きる力を育む教育」の3つです。これは、かけがえのない自分と他者のいのちをお互いに大切にすること、誰もが平和のもとで幸せに生きる権利を持っていること。世界の戦争、震災、環境、食料、エネルギー、貧困などの困難な課題の解決を図るために自分は何ができるのか、それを他者と一緒にどう取り組んでいけばよいのか考えていくことです。本校の探究型の学びも、こうしたことを大切にしています。
たとえば、人を傷つけないこと、もし傷つけてしまったときには「ごめんなさい」が言えること、目の前で困っている友人ひとりを助けていくことなどは、平和への一歩ではないでしょうか。その点では、本校には、「困っている人を助けたい、他者や社会とつながって自分らしく生きたい」といった姿勢や生き方を大切にしている優しい先輩たちがあふれています。どうぞ安心して頼ってください。また本校は、何か一つだけやっていたらいい学校ではありません。それは、学びと生活の世界を狭めてしまいもったいないことです。日々の授業や礼拝、学校行事、部活動、海外研修、生徒会活動、地域活動、留学体験など、多様な取り組みのなかで自分のやりたいことを見つけ根を張り、仲間と一緒にチャレンジしてほしいと考えています。これを文武不岐と言います。ただし、自分のペースを大切にしてください。こうした学びと生活の蓄積が、3年後の進路選択にもつながっていきます。
その際に、学級活動、部活動などで、時にはうまくいかないことや人間関係での悩み葛藤なども生まれることがあります。でも、学校は、失敗付きの練習ができて排除されない場所です。失敗や葛藤のなかで、友人や先生などいい援助者に出会うこともあります。人は助けてもらった経験によって、他者を助けられる人に成長していくのではないでしょうか。
新入生のみなさんが今持っているワクワクや興味関心を具体的なカタチにしていけるように、日常の授業の改善・充実に加えて、今年も、放課後の取り組みを継続し深化させていきます。一つは、部活動OFFの火曜日を軸に全教職員の手で通年行う「100ワクゼミ」(放課後ゼミ)です。二つには、教育機関「トモノカイ」と学年の教職員が連携して、月から金まで毎日大学生が4名来校して、3時間行う「メンタールーム」「イベントルーム」などの取り組みです。自分の興味関心に応じた課題探究の場として、また日常の学習を補完し実力をアップしていく場として、この二つの取り組みを大いに活用してください。こうした取り組みを含めて、指定校推薦などと同時に、一般入試で難関大学を受験する生徒への支援の強化を図っていきます。
みなさんの先輩たちは、生活アンケートの「将来どんな人になりたいですか」という問いに対して次のように答えてくれました。「人の幸せを素直に喜べる人」「いろんな人に優しくできる思いやりのある人」「誰にでも平等に接することができる人」「社会の問題を解決できる人」「いろんな国の人と関わり日本と海外のかけ橋になれる人」「自分の好きなことをしながら誰かの役に立てる人」などです。こうした先輩たちと共に、みなさんが持っている願いやワクワクをカタチにしていく場が近江兄弟社高等学校にはたくさんあります。みなさんの願いをかなえていく学校を、今日から私たち教職員、先輩たちと一緒に創っていきましょう。
以上、歓迎の式辞といたします。
