ヴォーリズ学園が大切にしている教育の柱
近江兄弟社高等学校校長の春日井です。私は、京都府内の公立中学校で社会科の教員として23年間、立命館大学でも23年間勤務し、専門は臨床教育学、教育心理学分野です。2024年よりご縁があり現職にありますが、中学校勤務時は、新任時から歴教協の会員でした。「歴史地理教育」に実践原稿を書かせていただいたこともあり、みなさん方との再会がとても懐かしく、心より歓迎申し上げます。
本校が、「地の塩 世の光」の学園訓のもと、大切にしている人間教育の柱は3つあります。「いのちを大切にする教育」「平和の担い手として世界とつながる教育」「豊かに生きる力を育む教育」です。特に、お互いのいのちを大切にするための人権教育、平和について考え実現を図っていく平和教育を重視にしてきました。
例えば、「いのちを大切にする教育」では、ワーキングチームを立ち上げて、9枚の花びらからなる「いのちの花」を数年前から提唱してきました。これは、競争人材ではなく国や民族、価値観などの違いを超えて共生していく人を育てていくことです。国内だけではなく、世界の人々のWell-being(こころ、からだ、社会的つながりのよりよい状態=幸福)を実現していこうとする視点が込められています。具体的には、「つながる、聴く、伝える、考える、助けを求める、立ち直る、挑戦する、自分を大切にする、相手を大切にする」という9つの力であり、今日非認知能力として着目されている内容とも重なっています。今年度は、宗教委員会などの提言により、花びら一つひとつに、アクションプラン(行動指標)を4つずつ明記し、現在検討しているところです。
また、本校は、国内で戦後いち早く海外研修に取り組んだ高校としての歴史を持っています。初めての修学旅行は、1969年でした。行き先は、まだ当時アメリカの占領下にあった沖縄でした。戦争と平和について考える修学旅行になりました。当時パスポートが必要でしたが、沖縄は1972年に日本に返還されましたので、行き先を韓国に変更し、日本修学旅行協会の記録では、この1972年の本校の取り組みが、戦後最初の海外修学旅行と明記されています。その伝統は、現在の高校2年での海外研修に継承されています。
私は、夏休み前の終業に際する生徒へのメッセージの中で、次の点に言及しました。「前期には、本校独自の取り組みである花の日礼拝と、平和礼拝が行われ、東日本大震災や広島での原爆などに関するお話を伺う機会がありました。また、世界各地で戦争が拡大している状況の中で、先日歌手で俳優の美輪明宏さんが、91歳で「ありがとう」と言い残して他界されました。美輪さんは長崎で10歳の時に被爆され、平和な世界と差別のない社会を願い続けてこられた方です。生前、次のような直筆のメッセージを残されました。
「こんな世の中を生き抜く武器は 愛の言葉しかありません この世のすべての問題を解く鍵は愛です 愛があれば 戦争なんか起こりません」。みなさんは、どんな「愛の言葉を」誰に伝えますか。一度考えて伝えてみてください。全校生徒に対して、こんな話をしたところです。
以上、学園紹介と歓迎のご挨拶と致します。